子どもたちの文章表現指導を誰にでも出来る一般化理論の構築・えのさんの綴り方日記

その7 先生から東京大空しゅうのはなしをきいたこと

先生から東京大空しゅうのはなしをきいたこと

墨田区立小梅小学校 一年 女子 
 三月十日のことでした。三時間目の社会の時、えの本先生が、
「きょうは、何の日かしってる人。」
と、みんなに聞こえるような大きな声で言いました。わたしは、
(何の日かなあ。)
とおもったけど、お母さんにも聞いてなかったのでわかりませんでした。あらいさんと大つかさんが、手をあげました。えの本先生が、
「あらいさん。」
といって、あらいさんのところを、ひとさしゆびでさしました。あらいさんは、立ちあがって、
「はい、東京大くうしゅうの日です。」
と言いました。わたしは、
(きょうが東京大くうしゅうの日か。)
とおもいました。わたしは、東京大くうしゅうの本をよんだことをおもい出しました。えの本先生が、
「これから、東京大空しゅうのしゃしんを見せます。」
と言って、げんこうようしぐらいの大きさの白黒しゃしんを見せてくれました。
 上の方から見たすみ田くは、田んぼみたいで、草がチョコチョコとはえているみたいでした。コンクリートのほかの木のいえは、やけてぜんめつしていました。マツヤデパートのほうは、まるでむしやきみたいでした。どうろは、人げんのしたいでゴロゴロでした。えの本先生が、
「人げんのしたいが、いっぱいでも、この人たちは、へいきだったんですねえ。」
と、しゃしんにうつっているあるいていた人を見ながら言いました。
 土手のほうのすみ田川には、くうしゅうの時にとびこんだ人たちが、したいになってながれていました。赤ちゃんをおんぶしたおかあさんがにげていると中、ばくだんにあたって、赤ちゃんをおぶっていたところだけ白くなっていて、ほかはぜんぶ、まっくろになっていました。赤ちゃんもまっくろでした。きゅうにしたいのしゃしんが、アップになりました。そのとき、わたしは、むねがドキッとして、きもちわるくなって、すぐ下を向いてしまいました。みんなは、
「やだあ、きもちわるうい。」
と、ワイワイガヤガヤがうるさくなりました。えの本先生のかおは、とてもかなしそうなかおをしていました。わたしは、
(もう、せんそうなんておこるな。)
と心の中で言いました。そして、
(せんそうは、こわくておそろしいなあ。)
とおもいました。わたしが大きくなっても、せんそうは、ぜったいにおこってほしくないとおもいます。
 三じかんめがおわった十分休みに、一年一組の男の子たち十人ぐらいが、
「せんそうはんたい。ぼうりょくはんたい。せんそうはんたい。ぼうりょくはんたい。」
と大きなこえで、かた手をあげながら、一年一組のきょうしつをぐるぐるあるきまわっていました。
 一九八三年 三月作

 1年生でも、紙芝居や写真などの映像を見せると、インパクトが大きい。子ども向けに書かれた戦争にかんするやさしい本もたくさん出ている。「かわいそうなぞう」「さよならかばくん」「東京大空襲」などの本を読み聞かせすることもお勧めだ。今福島原発事故による放射能漏れが、大きな問題になっている。「トビウオの坊やは病気です」「おこりじぞう」「ひろしまのピカ」など、反原爆の本もたくさん出ている。

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