子どもたちの文章表現指導を誰にでも出来る一般化理論の構築・えのさんの綴り方日記

作品5. いくつかの事実を確かめてから、一つの結論を出す

作品5.いくつかの事実を確かめてから、一つの結論を出す

指導題目 一つの出来事の原因を推理して、いくつかの事実を確かめてから、一つの結論を出してみる。

浅間山の火山灰 五年 男子

「あっ、これふつうのほこりとちがう。浅間山の火山灰じゃない?」
九月十七日の朝、母がベランダでいいました。ベランダの手すりを見てみると、白い粉のようなものがうすく積もっていました。母は、
「ニュースで大手町まで火山灰が来たって言ってたから、ここまで来ててもおかしくない。」
と言いました。ぼくは、
(本当かなあ。)
と、思いました。
 学校に行くとき、ぼくのマンションの玄関の前の共同廊下の手すりにも、同じものがうすく積もっていました。母は、
「昨日、管理人さんが来て、掃除したのに、もうこんなに積もってるってこと、やっぱり 灰じゃない?」
と言いました。ぼくは、
(じゃあ、そうなのかな。)
と思いました。行く途中、広い範囲に灰が積もっていると思い、日本庭園の道路の境にある手すりを見てみました。すると、案の定、家にあったのと同じものが積もっていました。ぼくは、
(やっぱり。でも火山灰って、これしか積もらないんだな。)
と、思いました。学校の教室に行って、稲を外に出すついでにベランダに出て、手すりにいってみようと思って、教室に行きました。すると、もう稲は竹田さんたちが外に出していたので、ただベランダに行くだけでした。ベランダの手すりを見ると、やっぱり白い粉が積もっていて、ぼくは、
(これは、もう火山灰に間違いない。)
と確信しました。山下さんに、
「ベランダの手すりに火山灰のようなものが積もってた。」
と言うと、山下さんは、
「ここまで火山灰が飛んでくるわけがない。」
と信じませんでした。家に帰って、母に、
「学校の日本庭園の手すりとベランダの手すりにも積もってた。」
と言うと、母は、
「やっぱり。あれは間違いない。」
と言いました。
 ここまで火山灰が飛んでくるなんてすごいと思いました。でも、近くの人たちは、もっと積もって大変だと思いました。

 何よりも母親の会話に、積極的に反応しているところが、この文章のもっとも大事なところである。最初は、半信半疑であったが、その事実を、何カ所かのちがった離れた場所でも、同じ白い灰を確認して、次第にその考えを確かなもにしているところにも値打ちがある。一つの事実だけでなく、他のことと比べて、同じ現象を確かめ、ますます最初の母親のひと言を、確かなもに確信していく。五感の一つである、目と耳を生き生きと働かせていたから、このような表現ができたのである。対象に対して、積極的に反応すると、生き生きとした作品につながる。

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