子どもたちの文章表現指導を誰にでも出来る一般化理論の構築・えのさんの綴り方日記

1月28日(金)初めて声を

1月28日(金)

初めて声を

 場面緘黙で、その子の声を授業中一度も聞いていない。休み時間や、友だち同士では、良くおしゃべりもあるようだ。しかし、授業中は、さされても黙っているだけで、一度たりとも声を出さなかった。しかし、きょうその子が、初めて全員の前で声を出してくれた。きっかけは、単純なことからであった。閉校式の呼びかけで、どうしても声を出さないと、次へ進まない場面があったそうだ。他の子と一緒にやっていたそうだが、その子だけで声が出せるようになったと言うことを聞いていた。その場面で、クラスの子がみんな拍手をして、祝福したそうだ。1週間に1時間の作文の時間で、初めてその子の声を聞いた。「冬休みの暮らし」と言うことを全員に作文に書いてもらった。その中で、比較的一生懸命書いた子の作品を、プリントしてみんなで読みあった。とうとうその子の番になった。「じゃあ、読んでみて下さい。」と働きかけたら、なんとすらすら読み出したのだ。比較的に声も大きく、しっかり読めた。読み終わった時に、クラスみんなから、大きな拍手が起きた。私も一緒に拍手を送っていた。その子にとって、心の悩みが、一挙に解放された瞬間であった。このクラスには、双子の弟さんがいる。彼にとっても、どんなにかうれしかったに違いない。おそらく、家に帰って、その拍手のことも含めて、声を出して初めて読んだことが、語られるであろう。授業が終わり、後ろで聞いていた担任の教師と、感動を分け合って話し合った。 
 私も、もう2ヶ月で、教育現場を離れる。この3月で終わりになる。今、さわやかな気持ちでいる。子どもが書いた作文が、心の解放につながったのである。私は、担任でもないが、この子のお母さんも知っているので、学校であったら、どんなふうに受け止めたのか聞いてみたい。

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