子どもたちの文章表現指導を誰にでも出来る一般化理論の構築・えのさんの綴り方日記

23号

はじける芽23号

クラスのみんなのものにする

 まず本文をじっくり読んでいただこう。自分のクラスの子が、日記に次のような文を書き上げて提出したら、次のようなことが浮かぶに違いない。
☆どんなところから題材をとらえているか。テーマ意識を持って書いているか。どう構成しているのか。
☆どんな記述をしているか。
☆どこを読み直して書き加えたり、削除しているか。
 時間がとれたら、みんなの前で読んであげようと考える。さらに時間がとれたら、コピーして全員に配ってみよう。もうちょっとていねいに扱うなら、一枚文詩集に印刷してみようと欲張る。もっと大事にしたければ、「家族の人と積極的に関わりながら、心や体を生き生きと働かせたことを日記に書きとめておこう」と言う見出しを大きく書いてあげる。その後に文章の上と下を少しあけ、上段には「心や体の生き生きと働いた生活のしぶり」下段には、「文章そのものの組み立てや書きぶり」について、作品分析をしてみる。
 それを作文の時間に読み合い、文章にそって作品の見方を学び合っていくようにする

(題材意識)=(テーマ)=(題材)=(構成)=(叙述)

グリンピースのさや取り 柳島小 5年

「ただいま。」
協、ぼくが家に帰ると、母がおぜんの上で豆のさや取りをしていた。近くに行ってみたら豆が大きかった。その豆がインゲン豆かと思ったので、母に、
「それ、インゲン豆?」
と聞いたら、
「グリンピースだよ。」
と言っていた。また少し見ていたら、楽しそうだったので、母に、
「手伝っていい。」
と聞いたら、
「いいよ。」
と言ったので、いっしょにやった。はじめぼくが母に、
「グリンピースとって。」
と言った。
「はい。」
と言って、5~6本のグリンピースをとってくれた。ぼくは、母のまねをして、さやの中のグリンピースを取った。母はまず、さやを半分にわって、その後の2つの半分のからグリンピースをとってざるに入れた。ぼくは、最初に半分に割ってかたっぽうの方をわったら、4っつついていた。もうかたっぽうをわったら6つもついていた。だから母に、
「10こもついていたよ。」
と言ったら、母は、
「へえ、10コも。」
と不思議そうに言った。またさやを取っていた。グリンピースは、さやの中にぎっしりつまっているものや、グリンピースが大きいものや、中がかすかすのがあった。今度は、母が10このを発見した。ぼくはそのうち楽しくなってきた。さやの外から見て、
「これは10こもあるな。」
とか、けんとうつけたりした。母が、
「グリンピースってさやの中にずいぶんいっぱい入っているのね。」
と言った。ぼくも、
「うん、そうだね。」
と言った。二人でやっていったので、大きなふくろにいっぱいあったのがどんどんへっていって、四分の一位になった。その中でぼくは最初の一つしか十このを見つけられなかった。けど母は2つ見つけた。ぼくが母に、
「11こってないかねJ
と聞いたら、
「さあ、どうかね。」
と母が言った。またやって、あと10本くらいになったとき、母が、
「一徳、あと全部やってくれる。ごはんのしたくするから。」」
と言ったので、ぼくが、
「いいよ。」
と言った。その中で最高は、9こだった。終わったので、母に、
「終わったよ。」
と言ったら、
「サンキュー。」
と言っていた。ぼくは、これも手伝いの1つだと思うけど、この手伝いならおもしろいから毎日でもいいなと思った。

生活態度・姿勢(認識の仕方・操作)

○常へいぜいの生活のしぶり

●その時々の体や心の動かし方・行動

O家に帰ると、あいさつが自然に声となって出ている。
O母親の仕事に、積極的に関心を持っているから、声がかけられる。
●仕事のしぶりをじっと見ていたから、楽しさがわかった。
O自分から自主的に、働くことに興味を持って参加する姿勢。
●母親としゃべったことをきちんと覚えてる。
●母親の動作をしっかり見て、何本位とったかも覚えている。
●初めは母親のまねをしながら取ったのだね。
●ここの所も、母親のさやのわり方を見ている。
●自分から作業をしてみると、おどろきも大きい。
●そのおどろきが、母親へ伝える会話となっている。
●グリンピースの姿・形・中味もよくくらべている。
●中の教を予想しながら、むいていくから楽しくなった。
●母親の何気ない会話をよく聞き取り、自分も反応している。
●仕事の手伝いを始める前に、袋の大きさを良く覚えている。
●次の目標を言い出す。
●あと10本くらいと数を覚えている。
○母親の提案に素直に応じている。
○手伝いをしてみて、またやってみたいと考える姿勢がよい。

表現の方法・技術

○文章の組み立て方。

●細かい書きつづり方。

○家に帰って声を出したところから書き出している。
●遠くの方から豆のさや取りを見て、近寄って豆の大きさがちがうことに気がつく書き方。
●思った通りに聞いたことを会話に書いている。
●どういうところがどんなふうに楽しそうに見えたのかが書けているとよい。
○手伝いをするきっかけは、会話でここから始まる。
●きちんと数字を書いている。
●母親の動作のまねから、自分でさわって中味をとっ
ていく手順がわかるように書いている。
●おどろいたことをそのまま会話で書いてあるのでよくわかる。
●グリンピースの中の豆が大きいのかな?よくわからない
●予想したことを会話に書いてあるので、楽しくなっていく内容がわかる。
●四分の一位という割合を使って書いている。
●ここの「その中で」ということは、「自分一人やった中で」と言う書き方の方がいい。
○手伝いをした感想でしめくくっている。
1990年6月21日

この作品の扱い方

 この作品は、素直に感じたことを感じたとおりにていねいにしたこと見たことを順序よく思い出して書いている。会話がしっかり書けている。書き出しも会話で始まっている。場面の切り取りを、会話で書き始めている。自分から積極的に関わろうとしている会話はどれか。感動している会話は、どれか。仕事を区切っている会話はどれか。親子で楽しそうにしている会話はどこか。会話があると、文章がどうなるか。なくなったら、この文章はどうなるかなどと、文章にそくして考え合ってもおもしろい。
2012.1.26(木)

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