子どもたちの文章表現指導を誰にでも出来る一般化理論の構築・えのさんの綴り方日記

24号

はじける芽24号

 みそ作りをしたことを日記に書いてきたので、それを作文にしあげてもらった。まず、下段の書きぶりに注目していただきたい。主題意識はどうなのか。文の組み立て方はどうなっているか。部分部分の文章の叙述はどう書けているか。このように書いたのは、上段の生活のしぶりがよかったからと考え会って作品を読ませたい。

あれから一カ月 柳島小 6年女子

(はじめの部分四百字位略)
 まず大豆は、前の日に水につけておかなければだめです。一晩つけておいたら、二倍以上にふくれ上がります。毎年四キログラム位の大豆で作っています。だけど今年は近所でもらった大豆もまぜてしまったので、五キログラム位になりました。大きなバケツに、たっぷり水を入れてつけました。明け方、兄が目をさますと、
「台所の方から何かへんな音がするよ。」
と母を起こしました。母が見に行くと、大豆がたっぷり水をすってふくれ上がり、バケツからどんどんこぼれ落ちていました。〈途中略〉
 昼すぎから、その大立を圧力なべで煮始めました。何回にも分けて煮ていました。母があまりにも忙しそうだったので、私と兄で、
「手伝っていい。」
と聞きました。母は、
「いいよ、豆をつぶしてちょうだい。」
と言われたので、はじめはしゃもじでたたいたり、つつついたりして、つぶしていました。けれどめんどくさくなったので、この前買ったばかりのミンチ機を私が上のたなから出して、ミンチ機でつぶしたら、ひきにくのようにおもしろいほどつぶれていきました。〈略〉
 一時間位で立をつぶし終わりました。おすしを使う飯合に、つぶれた豆が山盛になってありました。こうじと塩をまぜあわぜると、白っぽいみそらしいのが出きました。それにあめ色をした煮汁を十カップぐらいみんなでまぜました。兄が、
「もう出き上がったみたいだね。」
と言ったら、母に、
「まだまだよ。たるにつめて秋にならないとね。」
と言われてしまいました。
「じゃ早くつめようよ。」
と兄がうるさく言ったので、母はたるを外から持ってきました。
「つぶした大豆でおだんごを作ってちょうだい。」
と、母は言いました。私たちは、
「これ全部作るの。」
と聞いたら、
「そう、全部、そしてたるの中におもいっきり元気よく、にくしみをこめて、そのおだんごをたたきつけて。」
と言われたので、私は、
「どうしてこんなに、たたきつけるようにつめこむの。」
と聞いたら、母は、
「空気がぬけて、びっしりとしまるの。」
と教えてくれました。たるにつめ終わったら、一番上に塩を五十グラム位かけました。ラップをかぶせお皿を置き、重石をその上にのせました。ビニールを上からかぶせて出き上がりです。〈略〉
 あれから一ヶ月たったから、みそのふたをあけたら、うす茶色っぽくて、とう明できれいな色のつゆが上の方に少したまっていました。
「どうしてつゆがたまっているの。」
と、そばにいた母に聞いたら、
「4キロくらい重石をのせておいたからよ。」
と言いました。私は、
「どうしてこうじと塩と豆をまぜ、白ぽかったのにうす茶色になったの。」
と聞いたら、母は、
「こうじきんが働いて、じゅく成されたから。」
と言いました。私は、
「こうじきんて生きているの。」
と聞いたら、母は、
「そうよ、おみそにしても1年か2年位、『天然の場合は生き続ける』って本に書いてあったよ。だから秋ぐらいには、みそを食べ始めることが出来るわよ。12月頃になると色がもっとおいしそうな色になるよ。」
と言っていました。
1990年5月作

生活態度・姿勢(認識のし方・操作)

○常へいぜいの生活のしぶり

●その時々の体や心の動かし方・行動

○みそ作りに関わっているので、 大豆の量などについてもよく知っている。
●大豆の豆は生きていると言うことが実感を持ってわかる。
●兄妹で積極的に手伝おうと声をかけたところは、えらい。
●母親も快く応じているところも大切なところである。
●ミンチ機を使うことを言い出したのは誰なのかな。
●兄と母とのやりとりをよく覚えているが、自分は何をしていたのかな。
○母親は、みそ作りのコツをよく覚えている。●ここで疑問に思ったことを、聞いているところはえらい。
●保存食品を作るには、塩が大事な働きをしている。
●一緒に作ったのは、自分から1ヶ月後の変化を調べている。
●つゆがたまって変化していることに気づき、聞いている。
●前の状態と比較して変化の様子を具体的に聞いている。
●こうじ菌というのは、ずっと生きているというのは、初めてわかった。いつまで生きているんだろうね。

表現の方法・技術

○文章の組み立て方。

●細かい書きつづり方。

○はじめの部分に入る文であるが、今年のみそ作りの説明の部分である。
●『あれから1ヶ月』という題名になっているか、どうか。
○ここから、大豆を煮詰めたことがわかる。
●どのくらいつぶしていたのか時間が書けている。
●つぶしたあとの手順が誰にでもわかるように書けている。
●しかし、誰がどのようにしてまぜたのかが書けていない。
●兄と母の会話によって、混ぜ合わせたあとの様子がわかる。
●どのくらいの大きさの足なのかが書けていると、もっとよい。
○ここから1ヶ月たってからの文になっている。
●こうじきんの働きについて、色々と聞いて、それについての答えが会話の形で生き生きとわかるように書けている。

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