子どもたちの文章表現指導を誰にでも出来る一般化理論の構築・えのさんの綴り方日記

5月10日(金)日本作文の会への質問・最終文章

5月10日(金)日本作文の会への質問・最終文章

 東京では、連日今年の大会に向けて、若い人たちを中心に、やっと広がりつつあります。わたしの所属する「豊島作文の会」も4月28日で、535回の例会を終えました。来年は、50年目の年を迎えます。今年の大会には、報告者2名、司会3名、会場係2名を出すことになり、少しでも大会に協力しようとなっています。 

反省の意味を込めて

 今回の取り組みで、反省の意味を込めて発言します。 
道徳という言葉が、指導要領にはじめて載るようになったのは、今から61年前、1958年です。当時は、日教組が非常事態宣言を出し、日本作文の会内部でも、当時の常任委員が座談会を開き、どのように道徳教育を捉えたら良いかを、考えあっています。とにかく「特設道徳」には反対でした。民主的な道徳は、大切ですと参加者が発言しています。しかし、「道徳」という言葉は使わず、「生活指導」という言葉でその実践をしてきました。それらは、生活綴り方を子どもたちに書かせて、それをクラスの中で読み合い、すぐれた学級経営のなかから、子どもたちに賢く生きる力を文章をつづらせながら実践してきました。わたしが現役の頃は、子どもの作品を読むときに、上の段には、生活態度・姿勢として、生活のしぶりをほめ、下の段では、文章の細かい組み立てや書きぶりを大切にして読みあうことが、時々ありました。道徳の時間=作文教育を十分に実践できました。しかし今は、教科書からも、「作文」という言葉が消えてなくなりました。
今回、「道徳」が教科と位置づけられ、2018年度から先行して始まりました。(小学生のみ、中学校は2019年度から)。授業時間数は1年生から6年生まで週1時間であることに変わりはないが、道徳が「特別の教科」になることによる大きな変化は2つあります。
 第一に、道徳の授業で文部科学省の検定が必須の「教科書」が用いられるようになること。第二に「評価」が行われるようになることだ。この2つの変化が子どもたちにどのような影響をもたらすか、今回は考えていきたいと思います。
 大会時点では小学校の道徳科は本格実施以降一年と4ヵ月となります。(中学は始まって4ヵ月)国は、授業の創意工夫、教材の開発を推奨などと言いながら、実質的には教科書使用を強要しています。現場も、それを受け入れざるを得ないという諦めムードが広がっているように感じられます。超多忙の中で、具体的にどうして良いかわからない、考える余裕がないという状態なのでしょう。

教科書が出来上がる

 また、7月末頃は、来年度から使用する教科書の採択も、ある程度見えてきているタイミングです。道徳は2年前と同じ8社が検定申請し合格しました。各社の特徴や問題点もその頃にははっきりしていることでしょう。大会前後には道徳を巡る緊急の課題が浮上してくる可能性もあります。
 本来は、今大会で緊急特別分科会でも作って、全国にアピールするべきだった気がします。「教科教育と生活綴り方」分科会もなくなりました。道徳の実践を、提案する場がないのです。今、現場は、大変こまっているのではないかと想像します。やはり、わたしも含めて、危機意識がなくなってきていることも含めて反省しております。

今大会にのぞむこと

 これからの道徳は、もっと厳しく規制され、身動きできない状態になるのではと心配しています。そういう中で、少しでも、民主的な考えを育てる子どもにするために、実践研究を考えあう場を作ることが、ますます大事になってきます。作文教育・生活綴方は、「特別の教科 道徳」に対抗する実践として重要な位置にいます。実生活の中にある問題を具体的に捉えて考え、実感をもった受け止め方をする中で倫理観や道徳性を育ててきたことは実証済みだからです。
 そんなことも考えていただければ、今大会に向けて常任委員会が今からでもできることはあると思います。
例えば、どこかの分科会の午後を、緊急設置!「作文教育と道徳教育」分科会とするとか、緊急講座を設置するとか…、それを、今から全国に周知し準備を進め、大会初日には参加者に説明する、など、やろうと思えばいくらでも手は打てます。今からでも遅くはありません。何より、日作も道徳に問題意識をもって取り組んでいるというところを会の内外に示して行くチャンスでもあるのではないでしょうか。
 また、2018年「作文と教育」2月号で「道徳」の特集を組みましたが、今後も様々な取り組みが必要になってくるのではないでしょうか。

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