子どもたちの文章表現指導を誰にでも出来る一般化理論の構築・えのさんの綴り方日記

11月20日(火)第12回国分一太郎研究会を終えて

11月20日(火)第12回国分一太郎研究会を終えて

 第12回国分一太郎「教育」と「文学」実践研究会も、無事に終えた。3ヶ月間このことにずっと関わってきた。34人が参加してくれた。若い現職の人が何人か見えていたので、ほっとしている。その中で、偶然私の隣の席に座った方が、ノンフィクション作家の「神山典土」と言う方だった。休憩時間に私に名刺を下さり、ご自分のことを少し話された。最近「アエラ」が、「読書感想文」 は、もういらない!という記事を載せた。それに対して、多くの反響があった。その中の一人として、神山さんもアエラに書いた。その2ページのプリントをコピーして下さった。その文章を読んだ。
 神山さんも、2012年青少年読書感想文全国コンクールの「内閣総理大臣賞」の作品の書き出しに驚き、作者の家まで足を運ぶ。当時小学校6年生の佐々木風美さんだ。そこで、彼女の母親に感想文の書き方を聞いた。「物語を読んで、なるべく『でも~だったんじゃないか?』『もしかしたら~と思うこともできたんじゃないか?』と反対の見方をするようにしています」「物語を読んだら、母や4才上の兄とその本についてたくさん話をします。兄のつっこみが感想文の土台となる気がします」佐々木家はテレビをほとんど見ない。この兄妹は、9年間、感想文コンクール全国大会の常連で、ともに複数回の受賞歴を誇っている。
  一方大学で「キャリア講座」の受験生の文章を読んで驚いた。大学3,4年生の文章が、主語述語がねじれていて、この文章力のままで社会に出て大丈夫なのかと不安に感じている。元日本作文の会の常任委員だった、太郎良さんに取材している。そこでは、98年の学習指導要領に「作文」という言葉がなくなった。教科書で、「作文」として書き方を教わることは、稀(まれ)。遠足や運動会の行事があったときの感想文や、夏休みの読書感想文の宿題。そんな時くらいきり、文章と向き合う機会がなくなった。(以上神山さんの文章の抜粋)
 神山さんは、「作文教室」を開いている。夏休みに、2泊3日農家に宿泊し、農業体験をする。2日目は、場所を変え、そば作りに挑戦。山登りも楽しむ。最後の日は、午前中は、作文教室。昼食は、そば作りをして、そのあとは、酒造見学をし、閉校式をして解散している。その時に書いた児童の作文「たのしかったとうもろこしばたけ」「楽しいことがいっぱいの3日間」の2作品をコピーして、渡して下さった。2日たち、葉書が届いた。大変勢いのある字で、「子どもの作品」の「ご好評をお聞かせ下さい」と書かれていた。*2作品を読んでの感想
 文章というのは、必ずきっかけがあり。この子どもたちは、何でこんな楽しい会に参加出来たのか?そのきっかけから書いていくと、読み手にもその事情がわかる。私が現職にいたときは、文章を書く8つの大事なことを、教室の目立つところに張っておいた。また、毎日のように書いてもらう日記帳の表表紙の裏に、やはり張っておいてもらった。 

文章を書く8つの大事なこと

生き生きとした文章の書かせ方

五感(官)を、よく働かせて、毎日を過ごそう。
生き生きとした文章(日記)を書くためのキーポイント
(1)身のまわりの出来事で、心が動いたこと(ある日のこと)をえらぶ。
(2)したことの順によく思い出して「・・でした。」「・・・した。」と書く。
(3)いつ、どこで、だれが、何をしたのかがはっきりわかる文章にする。
(4)そのとき、自分が話したり、相手が話したりコトバは「 ・・・。」を使って文にする。
(5)そのとき、思ったり考えたりしたことは、(・・・。)を使って文にする。
(6)ものの形や色、大きさ、手ざわり、においなど五感(官)を働かせたことをよく思い出して書く。
(7)そのときの自分のうごきや、周りの様子も書くようにする。
(8)自分がわかっていることでも、読む人が分かるように説明も入れて書く。
 ホームページ「えのさんの綴方日記」の「たしかな文章表現力」より
 この8つのことを、授業でも取り上げていく。この中で、(1)を最初に教える。自分のみのまわりの出来事で、心に強く残ったことを取り上げることが大切であることを教える。次に(3)を学び合う。この文は、必ず書き出しの所で、意識して書かせる。同時に、その書き出しの所に、その出来事のきっかけのようなことが書ければ、なおさら良いとおさえる。その次に(2)を大事におさえる。このことは、1年間文章を書く基本中の基本だと教える。つまり出来事の順に、展開的に「・・・でした。」「・・・ました。」と過去形で書いていく。この書き方が、一番やさしく、誰でも思い出せば、書けるからである。だんだん慣れてきたら、
(4)の「・・・・。」会話を使うと、自分や相手が話した会話を入れて書くと、文章が生き生きとしてくる。さらに慣れた来たら、(5)もときには、書けるようになると、その時の自分の気持ちが伝わることを教える。余裕が出来たら、(7)もできるようになると、文章に巾が出来る。(8)は、自分はわかっていることでも、読み手がよくわかるように説明する文の入れられるとすごいことを教える。最後に、生き生きとした文章が書けるようになるには、(6)が大切であることを教える。つまり、五官(感)を生き生きとその時に働かせていると、あとから文章を書くときに、丁寧に思い出せることを具体的に文章で教える。
「たのしかったとうもろこしばたけ」
 こういう観点で読ませていただきました。2つの文章ともに、書き出しは、もう少し工夫が必要に感じました。2つとも、なぜこういう場面に出会うことが出来たのかのきっかけが書かれていない。「たのしかったとうもろこしばたけ」は、とちゅうから、8がつ3か、から始まる文章は、書き出しの所に書いていくことが大事である。そういう意味では、順序通りの出来事に書かれていない。題に書いていることは、1日目のことなので、2日目、3日目は、題名の内容と違うことを教えるべき。本人が、後半も全部書きたいのならば、題名を変えさせるべきではないか。
「楽しいことがいっぱいの3日間」
 この文章も、とちゅうから、8月3,4,5日に作文教室で・・・。と書かれているが、やはり書き出しの所に書かせたい。金子さんの文章を読むと、そば作りのことが、かなりていねいに書かれている。3日間全部書きたいのかもしれないが、やはり、一番心に残った「そば作り」のことだけを、丁寧に思い出させて書かした方が、はるかに値打ちがある文章になるのではないだろうか。
 しかし、3日間の行事をこなすと、どうしても全部を書きたくなるものだ。これはこれで、大いにほめ、次のときには、こういうことに気をつけると、さらに素敵な文集になると教える。私は、文章を書き終えたあと、クラスみんなで読み合うことを大切な授業にした。そこで、子どもたちに色々意見を言ってもらう。基本は、「たくさん誉める」その指摘の仕方は、大きく2つに分けて読むことを子どもたちには、教えた。

「生活のしぶり」

 生き生きとした文章の書かせ方の最初に書かれている、五感(官)を、よく働かせて、毎日を過ごそう。その時心や体が、生き生きとしていた所はどこか。(6)のこと。

「文章の書きぶり」

 文章が、生き生きと書かれているところの指摘。(6)以外の(1)から(8)まで。 こういう視点を、いつも大切にして、子どもの文章を読み合ってきた。
 急いで書いたので、もう少し丁寧に読むべきだが、以上。

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