子どもたちの文章表現指導を誰にでも出来る一般化理論の構築・えのさんの綴り方日記

2月17日(日)正三郎さんとのこと

2月17日(日)正三郎さんとのこと

 正三郎さんとは、国分一太郎さんの一番下の弟さんである。お元気だった頃は、毎年行われる「こぶし忌」(国分先生が亡くなった年から続けていた研究会)を、国分さんの教え子さん達と一緒に企画をされていた方である。研究会の記念講演を今年は誰にするとか、我々の理論研究会の乙部武志さんや本間繁輝さんと相談していた。第10回の日高六郎さんは、当時フランスに住んでいたので、そこに電話するのに、日本時間の何時頃が良いのか計算し、夕方5時頃にすると、フランスでは朝の10時前後、それで連絡したという苦労話を楽しそうに我々に語ったりしてくれた。研究会が終わると、講演者と我々理論研究会の参加者を、自宅に招いて、田舎のうまいものをふるまって下さった。その頃は、奥様もお元気で、珍しい田舎のうまいものを手料理して下さっていた。その奥様の弟さんが、寒河江文雄さんと言い、「想画の会」の会長をされていた。その時に、田舎のうまいものを食べているときに、記念講演をされた方は、その場で人物画を描いてプレゼントしていた。私も、一度、国分さんとの思い出を語ったときには、同じように私の顔を絵に描いて下さった。今では、大事に我が家においてある。
 その正三郎さんがお元気だった頃、手紙をやりとりを時々していた。たしか鶴見和子さんが、記念講演に来て下さった時である。

前略
 「今日に生きる国分一太郎」(鶴見和子曼茶羅Ⅱ 人の巻)お送り頂き有り難く読ませて頂きました。活字にすると、あの時の感動が再び甦ってきますね。お元気だった鶴見先生も、お体を悪くされ、ご静養の身との事、一日も早い回復を願わずにはいられません。
 さて、今年も一年が過ぎ去ろうとしております。あまり良い時代でなく、若者も老人もさまよえる時を、過ごしている気がしてなりません。その若者である子供達と、共に過ごしながら、大変な時代に生きているんだなあという実感です。子供達との関わりも、少しづつ弱々しい者になりつつあります。それは、我々を取り巻く環境がそうさせているのでしょう。「ものとことによりそう」と言う事の大事さを、改めて、鶴見先生が強調されていますが、まさにそうであろうと同感いたします。
 この一年、微力ながら、国分思想を私自身の生き方の根底にすえながら、「作文教育」を柱に教育実践をしてきました。「作文と教育」に1年間、 「私の作文教室」3年生を担当してきました。わずかなページでしたが、少しでも国分先生の教えを再現して見ました。本日3月号の原稿を書き終え、1年分を完了しました。原稿を書いている時、「もっと勉強しなくてはいけない。」と、先生がにらんでいるような気がしてなりません。
 3月号の原稿と、墨田区教員組合の新聞に月1回わりで連載している「はじける芽」を送ります。「はじける芽」と言う名前も、先生の書かれた本の題名を勝手にいただいたものです。「はじける芽」を連載し始めたのが、1987年ですから、今年で11年間続いていることになります。書く度に本当に良い勉強になっております。私のライフワークになりそうです。
 今年の1月、長らく墨田区立教員組合の委員長であった、内田宣人さんが、「戦後の果ての秋」と言う歌集をだされました。この方は、朝日歌壇にもたびたび選ばれている方ですが、「北に向く枝」と言う章の中で先生の事を次のように歌っております。
 北に向く枝をうたいしあこがれも継ぐ日は絶えぬ国分一太郎よ 
  同じ章の中に、次のような歌もあります。
 時厚く彼にも積めりわれ知る教室最後列の王貞治少年
 内田さんは、英語の教師で墨田区立本所中学校で、今ダイエーの監督をしている王監督を教えてもいました。巨人ファンの国分先生も、さぞや満足されていると想像しております。では、良いお年をお迎えください。

 今回の映像を見ながら、正三郎さん、あなたが苦労して作り上げてこられてたお仕事が、少しづつ実を結んでいますよと、ついつい声をかけたくなってしまうすてきなひとときだった。ご子息の恵太さんも、あなたの後を継いで、しっかりと国分一太郎研究会を盛り上げてくれていますよ。映像の中では、最後の締めの所で出てきて、お兄さんが書かれた「北に向かいし枝なりき」の色紙を紹介しておりましたよ。と言いたくなりました。国分先生が亡くなってから34年たち、このようにテレビの全国放送に取り上げられたことは、大きな意義があります。今の教育現場が息苦しくなっているからこそ、今回の企画は、光り輝いて見えます。

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