子どもたちの文章表現指導を誰にでも出来る一般化理論の構築・えのさんの綴り方日記

12月3日(月)神山さんの作文集を読んで

12月3日(月)神山さんの作文集を読んで

 昨日の日曜日に豊島作文の会が開かれた。そこに、ノンフィクション作家の神山さんが、定刻時刻に見えた。その際に今年作られた小学生の作文教室から生まれた作品集をいただいた。この夏休みに、北海道と新潟で行われた2泊3日の宿泊教室で取り組まれて出来上がった作品である。どの作品にも、その子なりの体験学習したときの思い出を精一杯書き込んでいた。学校教育でなく、民間の有志の方がこのような企画をし、小学生に作文力を高めるために行っている。頭が下がる試みである。全作品を読んだ感想を書いてみたい。まず、箇条書きに気の付いたことを書いてみたい。
①題名と名前が書かれているが、どこの学校の何年生なのかが書いてあると、その作品の見方が深まる。
②題名は短いより、やや長めの題名の方が主題意識が深まる。(書きたい内容が、はっきりする)
③なぜ、このようなことに参加するようになったのかを書くと、きっかけがはっきりする。それは、書き出しの所で書かせたい。
④いつの日の出来事なのかが、最後まで書かれていない作品が多い。
⑤書き終わったら、題名のことが中心に書かれているかを推考させると良い。
 P10の「おばあちゃんのおみそ」なかなか良い題名だ。しかし、そのことが書かれているのは、終わりの12行からあとの所である。ここの部分を広げて、もっと深めて書かせたい。
⑥全作品の中で、P21の「たくさんの体験」という作品が、よくまとまっているように読み取った。それは「体験」という共通のテーマで、様々な体験をまとめているからである。終わりの方に、心に残ったことをまとめているが、それらの中の1つだけでもえらんで書いていくと、さらにまとまった文になったのではなかったか。
⑦P23「ごかんをつかって」という文章は、1つのテーマにしぼって書いているので、わかりやすい。出来るならば、2日目からのことは書かないで、このことだけでまとめられたらもっとよくなる。
⑧P29の「五官を使って」という作品も、なかなか良い。それは、作文の書き方を上達させるには、このことが大切であると意識し、このことにこだわりながら書いているからである。
⑨3日間のことを全部書いている作品は、あまりおもしろくない。やはり、その3日間の中で、特に心に強く残ったことを1つにしぼって書かせるようにした方が内容が深まるのではないだろうか。

日常生活の何気ないことをとらえさせる

 以上が、読んだ感想だ。このように、3日間の宿泊体験をさせて、その中で心に残ったことを書かせると、このような傾向になる。だから、何か1つにしぼって、3日間の生活から一番心に強く残ったことを中心に書いてみようと呼びかけると、書かせる対象が絞られてくるのではないだろうか。
 私が現職のときに、子どもたちが書いてくる作品は、大きく分けて、人間、自然、世の中のことと3つの場面を切り取って書くとよいことを強調した。どこかに出かけた「お出かけ文」はあまりおもしろくないことも伝えた。また「運動会」「学芸会」「音楽会」など、何か行事があると書かせる教師がいたが、私達はそれを「行事作文」といって軽蔑することもよくあった。
 一番値打ちがあることは、「日常生活の中で、何気なく過ごしていて、心に強く残ったことを発見して、ひとに気がつかない内容を取り上げる作品が値打ちがあると伝えた」
 低学年では、「人間への注目」ということで、友だち・家族・先生・見知らぬひととの出会いで、心に強く残ったことを書いた作品は、大いにほめた。都会の中にも、自然がまだたくさん残っているはずである。その中で、自然の中で何か発見したこと、見つけたことを取り上げた作品は、大いにほめた。
 中学年・高学年になると、世の中の出来事で心に強く残った出来事を取り上げた作品は、大いにほめた。祖父母から聞いた昔の大変だった生活を聞き書きした作品は、大いにほめた。


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